今回は、労働環境以外の課題について夫に話を聞いてみたいと思います。

では、理さん、何か課題ありますかね?

まぁ、課題は山積しているけど、「これだけは本当に止めてってのがある。

なに?なに?そんなにやばいことがあるの?

名付けて、「新規採用教員には、実質拒否権がない問題」だ。通常、一般企業では最初の1~2ヶ月はみっちり研修をして、いきなり本業務に入るようなことはない。ただ、教員は全く違う。ほぼ、いきなり本業務だ。

えっ、そうなのそんなことが可能なの?

可能にするんだよ、無理矢理…それが恐ろしいところなんだ。

なんだか、聞くのが恐ろしくなってきたけど…どんな感じなの?

俺が新採だったときは20年近く前だから多少変わっているとは思うが、概ね次の通りだと思う。

赴任前の校長面談
1.3月に赴任校が知らされる。
2.赴任校の校長先生から連絡を受け、3月下旬に面談を実施することになる。
3.面談では校長先生から次のような内容を問われる(告げられる?)。


問い「学年は第〇学年に所属し、担任をもってもらおうと思いますがよいですか?」
「いきなり担任?マジで?」と不安になる。
*雰囲気的に「はい」しか言えない。
*返事を渋ると、次のような助言が来る。

助言「指導教員もつけるし、温かい先生方がサポートしてくれるから大丈夫だよ。」
*ここでもう「はい」とかしか言えない。

問い「分掌は、教務を考えているんだけど、君のような優秀な人がいると助かるんだよね。」
「分掌って何?」「教務って何?」って不安になる。
*雰囲気的に「はい」しか言えない。
*返事を渋ると、次のような助言が来る。

助言「教務に入れば学校全体のことがよくわかるから、それが一番いいと思うんだよね。」
*もう「はい」しか言えない。

問い「部活動は〇〇部を受け持ってもらおうと思うんだけど、いいかな?」
「担任に加えて顧問も?」と不安になる。
*雰囲気的に「はい」しか言えない。
*返事を渋ると、次のような助言が来る。

助言「外部コーチもついてるし、保護者も協力的だから大丈夫だよ。」
*もう「はい」しか言えない。

無理だと思っても断れないの?

うん、3月に校長先生が新採を面談する時点で、次年度の校内配置は全部決めてしまっているからね。もし拒否したとしても、長時間かけて説得されるだけだと思うよ。

うげぇ~、ブラック過ぎる…

そうなんだよ、そこが大問題なんだよね!新採には、まず教材研究をしっかりやらせるべき。いきなり学級担任や部活動主顧問にするのは本当に良くない!新採の先生のためにも、子どもたちのためにも絶対にダメ!

でも、中学校や高校は、学級担任じゃなくても授業はできるけど、小学校は担任持たないと授業できないんじゃない?

そうだね、でもそれは大きな問題だと思うよ。新採の最初の半年は、チームティーチング(TT)を行って新採+指導教員の2人体制で毎日勤務すべきだと思う。そうしないと、新採がつぶれちゃうよ。

確かにそうだよね。教員免許とって採用試験も合格したんだから、大切に育てていきたいよね。じゃあ、赴任前の面談はどんな感じだと理想的なの?

俺的には、次のことは最低でも面談でやってあげてほしい。

1.取得できる休暇について
「年間、20日年休があるよ」「年休は業務に支障がなければとっていいからね」くらいは伝えてあげてほしい。
2.学校で用意されている仕事道具について
学校で用意されている仕事道具(特に文房具)や後で学級費や副教材費で購入する物をしっかり教えてあげてほしい。あれこれ心配になって自腹でそろちゃったりするから。
3.学校組織図と校務の希望について
学校の組織図と校務内容の一覧を渡して、第1~第3希望くらいまではとってあげてほしい。希望をまったく聞かないのは本当にダメ。
4.正しい勤務時間と先生方の勤務実態について
正規の勤務時間を伝えられても、実態が全然違うんだから、そのことを正直に伝えてあげてほしい。勤務時間開始は朝の打合せスタートからだけど、その時間に出勤したんじゃ絶対に無理なんだし、ギリギリに出勤したら先生方に白い目で見られてかわいそう。
5.昼食及び休憩時間について
小・中学校なら給食費を支払って給食を食べなきゃいけないこと、休憩時間は一応あるけど実際はとれていないことを伝えてあげてほしい。高校なら、購買が使えるのか弁当を注文できるのか、近くに昼食をとれる場所があるかも教えてあげてほしい。
6.部活動について
新採を主顧問にするのは本当にダメ。小・中学校は顧問を担当する先生としない先生がいたりするけど、高校は全員何らかの顧問になるから、その実態も伝えるべき。これについても、第1~第3希望くらいまではとってあげてほしい。希望をまったく聞かないのは本当にダメ。

理が提案しているのは、当たり前なことのように聞こえるけど、実際は違うんだね。

本当に新採のことは大切にしてほしい。正直、学校は課題が山積みだけど、毎年少しずつ良くなっていっているのも事実なんだから、「大変だけど、一緒に改善していきたいので是非力を貸してください」ってスタンスで若い力を学校に入れていきたいよね。


夫の提案はもう少し続くようです…

教育の課題 実質、新採教員に拒否権がない問題 その2
教育の課題 実質、新採教員に拒否権がない問題 その3



教育の課題について他の記事はこちら

ブログランキング・にほんブログ村へ
にほんブログ村